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ここでは過去に数百件以上のリフォーム工事に携わり、数千円から1億円規模までいろんな物件に関わってきた代表の経験や考えをもとに、今リフォームを計画されている方の一助になればという思いでコラムを執筆しています。
はじめに:リビングは暖かいのに、お風呂とトイレだけ「別世界」になっていませんか?
こんにちは。Tfamily代表の高木大輔です。10月も半ばを過ぎ、名古屋も朝晩はぐっと冷え込むようになってきましたね。
この季節、お客様のお宅に伺うと、よくこんなお話を聞きます。
「冬はお風呂に入るのがおっくう。脱衣所で服を脱ぐのがとにかく寒い」
「夜中にトイレに起きると、足元からぞくっとする。年老いた親が心配で…」
リビングはエアコンで暖かいのに、廊下に出た途端、浴室や脱衣所、トイレだけが冷え切っている。この「家の中の寒さの段差」は、ただ不快なだけではありません。冬の家の中の事故の大きな原因にもなっています。
今回は、元・大手ハウスメーカーの現場監督として数多くの住まいを見てきた私が、ご自宅でできる「寒さの点検方法」と、数万円からできる対策、そして根本から直す方法までを順番にお話しします。
冬の入浴中の事故は、12月から2月に集中しています
家庭のお風呂の浴槽で亡くなる方は、平成28年に5,138人。その10年前の約1.5倍に増えています。そして、その約9割が65歳以上の方です。
時期にも大きな偏りがあります。東京都23区の調査では、入浴中の事故死の約半数が12月〜2月の3か月間に起きています。
出典:公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」掲載データ(東京都23区、平成16〜25年の月平均)をもとにTfamily作成
大きな原因と考えられているのが「ヒートショック」です。暖かい部屋から寒い脱衣所へ、寒い浴室から熱いお湯へ。急な温度の変化で血圧が大きく上下し、体に強い負担がかかることで、失神などを起こしてしまうのです。
つまり、危ないのは「寒い家」そのものよりも、暖かい部屋と寒い部屋の温度差です。だからこそ、家全体を工事しなくても、浴室・脱衣所・トイレといった「寒さの段差」がある場所を重点的に直すだけで、冬の安心感は大きく変わります。
まずはご自宅を点検。「寒さの段差」チェックリスト
次の項目のうち、当てはまるものはいくつありますか?
ご自宅の「寒さの段差」チェック
- 浴室の壁や床がタイル張りで、冬は床に足をつけた瞬間に冷たい
- 脱衣所に暖房器具がない、または置き場所やコンセントがなくて使えていない
- 浴室や脱衣所の窓が1枚ガラスで、冬は結露でびっしょりになる
- トイレの便座が冷たい、またはトイレにコンセントがない
- 脱衣所やトイレの床が冷たい板張りで、素足だとつらい
- 浴槽をまたぐときや、浴室で立ち上がるときにつかまる場所がない
- 65歳以上のご家族が、一番風呂に入ることが多い
2つ以上当てはまる場合は、冬本番の前に一度、対策を考えておくことをおすすめします。
「寒さの段差」を小さくする3段階の対策
対策は、費用と工事の大きさで3つの段階に分けて考えると、無駄がありません。
①【今日からできる】入浴前のひと手間
- 入浴前に、脱衣所と浴室を温めておく。浴室は、シャワーのお湯を床や壁に出しておくと、蒸気で温まります。
- お湯の温度は41℃以下、湯船につかるのは10分以内を目安に。
- 一番風呂は冷えやすいため、高齢のご家族は2番目以降に入るのも一つの方法です。
まずはお金をかけずにできることから。ただし、「毎回シャワーで温める」のは手間も水道代もかかります。毎日続けるなら、住まいの側で解決した方が確実です。
②【数万円から】部分的な住まいの手直し
「浴室を丸ごと替えるほどではない」というお宅には、寒さの原因になっている場所だけをピンポイントで直す方法があります。
| 場所 | 手直しの例 | ねらい |
|---|---|---|
| 脱衣所 | 壁付けの小型暖房機を取り付ける/暖房器具用のコンセントを増設する | 服を脱ぐ場所の寒さをなくす。床に置かないので、狭い脱衣所でもじゃまにならない |
| 脱衣所・トイレの床 | 冷たい床の上に、クッション性のある床材を重ね貼りする | 素足で立ったときの「ひやっ」を減らす。水に強く、掃除もしやすい |
| トイレ | コンセントを増設し、暖房便座を使えるようにする | 夜中のトイレの冷えを和らげる |
| 浴室・脱衣所の窓 | 窓の内側にもう1枚窓を付ける(内窓) | 冷たい空気が窓から降りてくるのを抑え、結露も減らす |
| 浴室・トイレ | 立ち座りや浴槽をまたぐ位置に手すりを付ける | 万が一ふらついたときに体を支える |
ポイントは、全部をやる必要はないということです。チェックリストで当てはまった場所から、優先順位をつけて手を付ければ十分です。
ここで、現場監督ならではの注意点を一つ。暖房器具や便座のために延長コードを何本もつないで使うのは危険です。水回りは湿気が多く、ほこりがたまったコンセントは発火の原因にもなります。電気を使う対策をするなら、コンセントの増設とセットで考えてください。
③【根本から直す】タイルの浴室をシステムバスに替える
築年数が経った戸建てに多い、壁も床もタイル張りの浴室。実は、冬の寒さという点では一番の弱点です。タイルとコンクリートは冷えやすく、一度冷えるとなかなか温まりません。
最近のシステムバス(ユニットバス)は、床・壁・天井・浴槽に断熱材が組み込まれており、床に足をつけたときの冷たさがまったく違います。お湯も冷めにくくなるため、追い焚きの回数も減らせます。
なお、前回のコラムでもお話ししたとおり、高いグレードを選ぶ必要はありません。寒さ対策という目的なら、標準グレードでも断熱の基本性能は十分です。浮いた予算は、脱衣所の暖房や床の手直しに回す方が、冬の快適さにつながります。
【施工実例】築50年・タイルの浴室を、暖かいシステムバスに
以前、岐阜県の築50年・伝統工法のお住まいで、浴室の改修をお手伝いしました。タイル張りの浴室で冬はとても寒く、浴槽も小さくて足を伸ばせない、というお悩みでした。
施工前
施工後岐阜県・築50年の家(K様邸)。タイルの浴室を、断熱性の高いシステムバスに交換しました。
このお宅では、浴室だけでなく、壁と床への断熱材の追加や、窓の交換もあわせて行いました。家全体の寒さの原因を一つずつ見つけて、優先順位をつけて直していった現場です。
もちろん、すべてのお宅でここまでの工事が必要なわけではありません。「どこが寒さの原因になっているか」を正しく見極めることが、無駄なお金をかけないための一番の近道です。
冬本番の前に。工事は「寒くなる前」が一番いい理由
寒さ対策の工事は、本当に寒くなってからご相談をいただくことが多いのですが、実はおすすめしません。
- 12月は年末に向けて職人の予定が埋まりやすいため、希望の日に工事ができないことがある
- 浴室の工事中はお風呂が使えないため、寒い時期ほど工事期間がつらくなる
- 事故が増える12月〜2月の前に、対策を終えておける
脱衣所の暖房やコンセントの増設、手すりの取り付けなどは、多くの場合1日で終わる工事です。年内に済ませたい方は、11月中にご相談いただくと、余裕をもって日程を組めます。
おわりに:寒い場所を、写真で送ってください
私は、リフォームを「住まいの診察と治療」だと考えています。寒さの原因が窓なのか、床なのか、浴室そのものなのか。原因を正しく診断できれば、必要な工事は意外と小さく済むことも多いのです。
「うちの脱衣所、何をすればいい?」「親の家のお風呂が心配で」。そんなご相談で構いません。気になる場所をスマートフォンで撮って、LINEで送ってください。元大手ハウスメーカーの監督の目線で、優先すべき対策と、おおよその費用をお伝えします。
Tfamily代表大きな工事をおすすめするつもりはありません。今の住まいで一番効く「最小限の手直し」を一緒に考えましょう。
ご自宅をもっと詳しく見てほしい方には、住まいの主治医 精密診断もご用意しています。
名古屋の冬を、家族みんなが家の中で安心して過ごせるように。皆様からのご相談を、心よりお待ちしております。
※入浴中の事故に関する数値は、公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」の掲載情報によります。体調に不安がある方は、かかりつけ医にもご相談ください。

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